ニコちゃん(※女王アリ)の引っ越し完了。
先日引っ越し作業を開始したニコバレシスオオアリのコロニーの引っ越しが無事完了した。
あっさり引っ越し完了とはいかず、なかなか大変だった。
とりあえず、引っ越し開始から一日経った頃、夕方に仮眠を挟んで飼育ケースを見てみると、こんな感じだった。
ワーカー三匹を残して、いつの間にか女王ニコちゃんや幼虫・蛹も含め、アルミホイルに包まれた新居に移動していた。
これは楽勝であっさり引っ越し完了かなー、とか思いつつ、残りの三匹が新居に移動するのを待っていたところ……。
いつの間にかみんな出戻ってきていた。なんでや。
まあ、どっちが住みやすいかはっきりしなくてうろうろするのもアリがちだよなー、と思って気長に待つことに。
そして翌日。また夕方頃に飼育ケースを見ると、また引っ越しが進行していた。
残り一匹。今度こそ引っ越し完了だろ。
そう思っていた時期が俺にもありました。
数十分後にはご覧の有様だよ。
その後も色々観察していたところ、どうも新居への引っ越しを推進しているのは一匹のワーカーのようだった。こいつがせっせと卵や幼虫、蛹を新居に運び入れ、何匹かの他のワーカーに触覚とかで何らかの働きかけをすると、ワーカーたちの大半が新居に移っていく。その様子を見て、女王ニコちゃんものそのそと自分で新居に移動していた。
ところが頑なに既存のケースに留まるアリもわずかにいて、その中の一匹が、しばらくすると新居に移された卵・幼虫・蛹をまた戻してくる。すると他のワーカーもだんだん戻ってきて、女王ニコちゃんもそんな空気を読んで戻ってくる。
そういうせめぎ合いが何度も繰り広げられていたようだ。
このままでは埒が明かないので、新たな作戦を導入することに。アリは暗いところを好む=明るいところはそんなに好きじゃないので、新居をアルミホイルでくるんで暗くするだけでなく、既存のケースを明るく照らして、より明暗の差をつけてやるのだ。
というわけで、昼間に日当たりのよい場所にケースを移動して、カーテン全開で数時間様子を見ていると、いつの間にか全員が新居に入っている瞬間が訪れた。
この隙を逃したら次のチャンスはいつくるかわからん! と急いで新居と既存のケースの連結チューブを外して、新居に蓋をした。
めでたしめでたしである。
今のところ、上の写真のように左上の部屋をメインで使っている。その上に餌場との出入り口となる穴が開いているので、いわば「玄関が居間」みたいな状態。
ちょっと理由があってできれば一番下の方の部屋をメインで使ってくれないかなー、と思っているんだけど、先は長そう。ケースの下半分だけアルミホイルでくるんだりしたらあるいはうまくいくかも? 今度試してみよう。
あと、おまけ。部屋にハエトリグモが住みついてて、時々仕事中なんかにもPCのディスプレイの上をひょこひょこ歩いて可愛い姿を見せてくれるんだけど、引っ越し作業中のアリを興味津々で眺めている姿が可愛すぎた。
ハエトリグモの方はケース内のアリの動きに敏感に反応してる一方で、ケースのすぐ外にハエトリグモがいることなんか全く気付いていないアリたちのギャップが面白い。
感覚器官として視覚を主に発達させたハエトリグモと、触覚を主に発達させたアリとの対比が分かりやすく見られて興味深い光景だった。